JR線の運賃計算は複雑です。そのためちょっと工夫することでお得に買うことができるケースがあります。このページでは分割購入と言われているきっぷの買い方をご紹介します。
分割購入とは
分割購入とはその名の通り通常1枚として購入するきっぷや定期を分割で購入することです。場合によってきっぷで100円以上得することができる買い方になります。
定期券の場合は購入方法を工夫することで、1枚で購入するのと変わらずに使用することができますが、きっぷやSuicaなどのICカードの場合は一旦改札を通る必要があります。
例えば下記の八王子駅~東京駅間の場合、八王子駅~新宿駅、新宿駅~東京駅と新宿で分けて購入することで通常820円の運賃が690円と130円(約15%)も安く移動することができます。
分割購入の検索方法
小難しい仕組みはあとにして、「乗車券分割プログラムの実行」や「分割.net」を利用すると簡単に分割購入可能か検索することができます。
「乗車券分割プログラムの実行」運賃を計算するために正式路線名を使用しているため、普段使用している「京浜東北線」や「埼京線」といった運転系統名では検索ができないので注意が必要です。
きっぷ・定期券の買い方
上記のサイトで分割購入ができることがわかったら、念のために定期券代が計算できる乗換案内サイトで料金を計算しましょう。
きっぷの場合、指定席券売機を用いると区間を指定して買うことができ、途中で降りる必要がなくなります。
定期券を分割購入する場合でも、1枚のSuicaやICOCAとして発券することができます。ただし、券売機では発券することはできず、みどりの窓口で通常のフォームに駅名を2段にわたって書いて提出すると発券されます。(2区間を1つのSuicaに乗せるため、2区間分割購入の定期券という特殊な買い方となり、窓口の方から確認されますが大丈夫です。)
モバイルSuicaでも分割購入の定期券を購入することが可能です。モバイルSuicaについても同様でアプリ内での操作では完結できませんので、専用の申込フォームで申請するとJR東日本にて定期券の情報が作成され、それをクレジットカードで購入するという流れになります。
ほかにも定期券を安く買うアイデアを下記にまとめております。
分割購入のデメリット
分割購入のデメリットは通常使っている分には特にありませんが、払い戻し時に払い戻し金額が2倍かかってしまうことや、新幹線の輸送障害の振り替えなどで制限が出ることが挙げられます。
分割購入の仕組み
なぜこのような分割購入が可能なのでしょうか?
その理由は営業キロの区間と営業キロあたりの運賃の差にあります。
まずは営業キロの区間についてみてみましょう。以下のグラフのようにJR線の運賃はキロ当たりに徐々に上がるのではなく特定の距離ごとに上がっていきます。(1キロ~6キロまでは3キロごと、7キロ~10キロは4キロ、11キロ~50キロは5キロ)
ここで青く着色した部分、14キロと28キロを比較しましょう。14キロの運賃は220円なのに対して、倍の距離の28キロの運賃は480円となっています。つまり一度に28キロのきっぷを買うよりも、14キロを2回買ったほうが40円ほど安く乗ることが可能ことになります。
一般的に鉄道運賃は長距離を利用すればするほど利用キロあたり運賃が低くなるように設定されていますが、このように距離の端数をうまく利用することで運賃を下げることが可能です。
営業キロ当たりの運賃の差もあります。下表は営業キロ区間内で最大の営業キロの場合の営業キロ当たりの運賃ですが、11km~15kmの区間がほかの区間と比較して安くなっているのがわかります。つまりうまくこの区間に分けることで運賃を抑えることが可能です。
営業キロ | 運賃 | 営業キロあたりの運賃 |
初乗り3km | 140円 | 46.67円/km (3km) |
4km~6km | 160円 | 26.67円/km (6km) |
7km~10km | 170円 | 17.00円/km (10km) |
11km~15km | 220円 | 14.67円/km (15km) |
16km~20km | 310円 | 15.50円/km (20km) |
21km~25km | 400円 | 16.00円/km (25km) |
26km~30km | 480円 | 16.00円/km (30km) |
きっぷ)
これまでは電車特定区間に関して説明しましたが、JR線にはこれ以外の運賃も存在します。電車特定区間(山手線内・大阪環状線内)、電車特定区間、幹線、地方交通線の順で運賃が上がっていきます。首都圏の場合、宇都宮線・高崎線の大宮駅より北、総武線の千葉駅より西、東海道線の大船駅より東などは電車特定区間ではなく幹線となります。
山手線内 | 電車特定区間 | 幹線 | 地方交通線 | |
初乗り3km | 140円 | 140円 | 150円 | 150円 |
4km~6km | 160円 | 160円 | 190円 | 190円 |
7km~10km | 170円 | 170円 | 200円 | 210円 |
11km~15km | 200円 | 220円 | 240円 | 240円 |
ポイントは山手線内・電車特定区間と幹線・地方交通線をまたがって乗車した場合、割高な幹線や地方交通線の運賃がすべての区間に適用されてしまうことです。つまり下図のように東京駅~藤沢駅間は電車特定区間(山手線内)、電車特定区間、幹線の3つにまたがりますが、すべて幹線の運賃が適用されることになります。分割購入することで幹線の区間を東戸塚駅~藤沢駅間にすることで負担を少なくすることができます。
さらに最初の図で示したような、京王線と競合する八王子駅~新宿駅間など私鉄との競合区間の場合、東京・名古屋・大阪の特定区間とされてさらに割安な運賃が設定されています。
さいごに
分割購入の記事は参考になりましたでしょうか?
単距離のきっぷであれば差額は数十円~百数円ですが、6ヶ月の通勤定期券の場合5,000円~2万円超という金額が浮きます。普段、長い通勤で苦労されている分、浮いたお金でグリーン車に乗車することもできちゃいますのでぜひ検討してみてください。