東京メトロと共に都心の地下を走る都営地下鉄。通勤に使われる方も多いと思います。数駅しか使わない場合、定期券より回数券のほうが安くなることをご存じですか?このページではどういった場合に安くなるのかを解説していきます。
前回は東京メトロの回数券と定期券の比較を行いましたが、都営地下鉄でも同じように距離と利用頻度によっては、定期券よりも回数券のほうが安くなることがわかりましたので、こちらにまとめます。
東京メトロの記事は下記の記事をご覧ください。
回数券のほうが定期券より安くなるケース
いきなり結論になりますが、都営地下鉄でも通勤6か月定期券よりも回数券のほうが安くなるケースが存在します。
通常、鉄道会社は定期券、回数券、IC運賃、きっぷの順に割引率が下がってきますが、都営地下鉄は通勤定期券よりも回数券のほうが安くなる区間がいくつかあります。
回数券のほうが安くなる営業キロ
月に20日・40回(20往復)利用するケースと19日・38回(19往復)利用するケースを考えたいと思います。
月20日利用するケース
下のグラフのとおり、月に20日・40回(20往復)利用する場合、営業キロで4km・8km・9kmが該当します。
グラフ上のグレーの線(6カ月通勤定期代)がオレンジの線(回数券)と交差する営業キロに該当すれば、回数券のほうが安くなります。
とはいえ、普段使用している定期券の営業キロなんて知らない人がほとんどでしょうから、単純に片道きっぷの運賃と6カ月の通勤定期代で切り替えたほうが良いかを下の表にまとめました。たとえば1行目ですが、片道きっぷの運賃が180円であり、6カ月通勤定期券が40,940円の場合は回数券にしたほうが、1,340円安くなります。
営業キロ | 片道きっぷ | 回数券(6か月) | 6カ月定期券 | 回数券割引率 | 定期券割引率 |
4キロ | 180円 | 39,600円 | 40,940円 | 8.33% | 5.23% |
8キロ | 220円 | 48,400円 | 48,660円 | 8.33% | 7.84% |
9キロ | 220円 | 48,400円 | 50,440円 | 8.33% | 4.47% |
なお、本来回数券の割引率は9.09%ですが、6カ月(240日)として計算すると回数券がキリ良く使い切れず余ってしまうため上記のように8.33%となっています。実際は継続して使用することになると思いますので、9.09%としても良いかと思います。
月19日利用するケース
つづいて月19日利用した場合についても計算しました。これは年末年始、ゴールデンウイーク、お盆休みなどの長期連休を考慮すると、出勤するのは月19日程度という方もいると思ったからです。この場合はさらに回数券が有利になります。
下のグラフのとおり、月に19日利用するケースでは営業キロが3km、4km、7km~9km、14km、15kmとなります。
同じように片道きっぷと6カ月通勤敵券の費用を算出しました。
営業キロ | 片道きっぷ | 回数券(6か月) | 6カ月定期券 | 回数券割引率 | 定期券割引率 |
3キロ | 180円 | 37,800円 | 38,940円 | 7.89% | 5.12% |
4キロ | 180円 | 37,800円 | 40,940円 | 7.89% | 0.24% |
7キロ | 220円 | 46,200円 | 46,980円 | 7.89% | 6.34% |
8キロ | 220円 | 46,200円 | 48,660円 | 7.89% | 2.99% |
9キロ | 220円 | 46,200円 | 50,440円 | 7.89% | -0.56% |
14キロ | 280円 | 58,800円 | 58,270円 | 7.89% | 8.72% |
15キロ | 280円 | 58,800円 | 59,730円 | 7.89% | 6.44% |
回数券のほうが安くなる区間はドコ?
現在、都営地下鉄は総延長109キロ・駅数は106駅ありますので、おおよそ平均の駅間は1.03キロとなります。したがって、月20日利用のケースではおおよそ4駅、8駅、9駅が回数券のほうが安くなる区間となります。月19日利用の場合は3駅、4駅、7~9駅、14駅、15駅となります。
具体的に都営新宿線で市ヶ谷駅から本八幡駅方面に向かった場合、どの駅が対象なのか確認しました。月19日利用した場合、一之江までの6駅で回数券のほうが安い駅となり、休日都心方面に行かないのであれば回数券に切り替えたほうが良いかもしれませんね。
- 月20日利用の場合: 岩本町駅、住吉駅、西大島駅
- 月19日利用の場合: 小川町駅、岩本町駅、菊川駅、住吉駅、西大島駅、一之江駅
回数券はPASMO・SUICAのチャージ残高から購入できる
都営地下鉄では券売機を利用して回数券を買うことが可能です。
また東京メトロと同様に各種回数券を購入にはPASMO・Suicaといった交通系ICカードのチャージ残高から購入できます。
都営地下鉄はオリジナルのクレジットカードを発行してはいませんが、東京メトロのToMeカードやJR東日本のVIEWカードなどのクレジットカードから交通系ICカードにチャージすることで、それらのポイントを貯めることが可能です。
鉄道系クレジットカードの比較については、下記のオートチャージのページに纏めていますのでよろしければご覧ください。
残念ながら都営地下鉄の券売機ではモバイルSuica・モバイルPASMO未対応となっていますので、これらを使用している方は予めカードにチャージしておくようにしましょう。
最後に
東京メトロに続いて都営地下鉄においても回数券のほうが安いケースがあることがわかりました。地下鉄は減価償却が大きく、特に都営地下鉄は遅い時期に建設された路線が多く、建設に大きな金額がかかっているため、通勤定期に対して大きな値引きができないのが実情でしょう。
都営地下鉄でも時差回数券の販売もあるので、フレックスタイムなどで時差出勤・退勤ができる方は併用してはいかがでしょうか。
テレワーク推進やテレワークなので働き方が変わる方、変わらない方も参考になればと思います。