仕事や観光で都心部の足として便利な東京メトロ。東京都心の地下を縦横無尽に走っているため、利用される方も多いと思います。ここでは就職や転職、テレワークによって出勤頻度が下がった方など、これから東京メトロを使う方・利用方法が見直される方のために東京メトロのお得な乗り方を解説します。
東京メトロは回数券のほうが安い場合がある
東京メトロは普通券(きっぷ)・PASMOのほか、定期券、回数券、団体券といった割引券が存在します。
普通の鉄道会社では安い順に定期券、回数券、PASMOやSuicaなどのIC運賃、きっぷとなるのですが、東京メトロなど一部では通勤定期券が必ずしも回数券より安いわけではありません。
都営地下鉄の場合も回数券のほうが安くなります。下記の記事をご覧ください。
6か月間のきっぷ・回数券・通勤定期の比較すると…
以下のグラフでは6か月間にきっぷ・回数券・6か月通勤定期の費用を営業キロごとに比較しています。なお、きっぷ・回数券は1か月あたり20日利用するものとし、6か月間120日の往復運賃(計240枚)としています。
一般の鉄道会社の場合、グレーの通勤定期が常に割引率が高く、回数券が安くなることはありませんが、東京メトロの場合は一部の区間5キロ~6キロの区間で逆転現象が起きています。
営業キロが5キロ~6キロだと回数券のほうが安い
つまり、5キロ~6キロの区間、もっと具体的に書くと片道きっぷが170円で、6カ月の通勤定期が37,530円と38,450円の場合、回数券のほうが安くなります。詳しい金額は下記のとおりです。
営業キロ | 片道きっぷ | 回数券(6か月分) | 6カ月定期券 | 回数券割引率 | 定期券割引率 |
5キロ | 170円 | 37,400円 | 37,530円 | 8.33% | 8.01% |
6キロ | 170円 | 37,400円 | 38,450円 | 8.33% | 5.76% |
このように営業キロが5キロ~6キロ区間においては回数券を利用したほうが、定期券より最大で1,000円程度安くなります。(回数券の本来の割引率は9.09%ですが、上記表は6カ月間毎日往復した場合(6カ月x20日x2(往復))の240枚と定義しているため、端数の影響で割引率が悪化しています。実際に利用する場合は9.09%と考えて差し支えないでしょう。)
月に19日しか利用しない場合、回数券がさらに有利に
上記は月に20日利用することを前提に計算しましたが、日本は1日以上祝日がある月がほとんどですし、ゴールデンウイーク・お盆・年末年始といった長期休暇もあります。仮に月に19日利用するケースでは下記のようになります。
この月に19日利用するケースで、回数券のほうが割引率が高くなる営業キロは下記のとおりです。
営業キロ | 片道きっぷ | 回数券(6か月分) | 6カ月定期券 | 回数券割引率 | 定期券割引率 |
3キロ | 170円 | 35,700円 | 35,700円 | 7.89% | 7.89% |
4キロ | 170円 | 35,700円 | 36,560円 | 7.89% | 5.68% |
5キロ | 170円 | 35,700円 | 37,530円 | 7.89% | 3.17% |
6キロ | 170円 | 35,700円 | 38,450円 | 7.89% | 0.80% |
10キロ | 200円 | 42,000円 | 42,120円 | 7.89% | 7.63% |
11キロ | 200円 | 42,000円 | 42,990円 | 7.89% | 5.72% |
このケースでも同様に、回数券がうまく使い切れないため、割引率が本来の9.1%よりも悪化しています。もちろんうまく使いきれれば割引率は9.1%となりますので、定期券と同様の割引率である営業キロが3キロ区間についても、回数券のほうが有利としました。
回数券のほうが得になる区間は?
東京メトロの総路線距離は195km、総駅数は180駅ですので、単純に割ると駅と駅の距離の平均は1.08kmとなります。
したがって、1か月あたり20日東京メトロを利用の場合は5駅~6駅ぐらいがこの回数券のほうが安い区間に該当することとなります。同様に1か月あたり19日利用の場合は3駅~6駅、9駅~10駅ぐらいとなります。
それでは丸の内線を例ににどの駅が該当するのか見てみましょう。下の図は大手町駅から見てどの駅が該当するのか調べたものです。太文字が20日利用のケースで回数券が有利になる場合、通常の黒文字が19日利用のケースで有利になる場合となります。特に19日利用の場合はかなり多くの駅が当てはまっていることがわかると思います。(大手町~池袋間は8.1kmしかないため、10キロ~11キロ区間は該当しませんでした。)
大手町駅から丸の内線を利用した場合、回数券のほうが安くなる駅
- 20日利用の場合: 赤坂見附駅、四ツ谷駅、茗荷谷駅
- 19日利用の場合: 霞ケ関駅、国会議事堂前駅、赤坂見附駅、四ツ谷駅、西新宿、中野坂上駅、本郷三丁目駅、後楽園駅、茗荷谷駅
回数券はPASMO・SUICAのチャージからも購入可能
クレジットカードからのチャージでポイントが獲得できる
東京メトロの場合、各種回数券の購入にPASMO・Suicaなど交通系ICカードの残高を使用することができます。
鉄道会社等が発行するクレジットカードからPASMO・Suicaにあらかじめチャージをしておき、その残高で回数券を購入することでクレジットカードのポイントを貯めることができます。
鉄道系クレジットカードの比較については、下記のオートチャージのページに還元率まとめてますのでよろしければご覧ください。
モバイルPASMO・モバイルSuicaは要注意
現在、東京メトロの回数券が購入できる券売機はカード型のみ対応しており、モバイルPASMOやモバイルSuicaを使用して購入することができません。
残念ながら、モバイルPASMOやモバイルSuicaユーザーは一旦カードにチャージをする必要があります。
さいごに
本記事では東京メトロの料金の仕組みから、回数券のほうが定期券より安いケースがあることをお伝えしました。
東京メトロの回数券は記事内では10枚分の運賃で11枚発券される普通回数券を想定していますが、利用できる時間は限定されるものの10枚の運賃で12枚発券される時差回数券もあります。
フレックスタイムなどでテレワークの推進などで働き方が変わる方・変わらない方も参考になれば幸いです。