大手企業をはじめ、国内の多くの企業で感染症対策のためにテレワークの推進が図られてきました。対策の長期化に伴い、恒久的に会社への出勤頻度を毎日から週2回など少なくする動きが出てきています。
このページでは出社日数が削減された中で、交通機関各社が販売する乗車券を組みわせることで通勤費をどうすればよいかを考えます。
テレワークで定期代が支給されなくなったら
テレワークの長期化・定着化によって、実際にオフィスに出勤する日数が減っている会社では、交通費の見直しに着手しています。
具体的には出勤するための交通費を、これまで毎日出社することを前提に支給していた定期券から出勤する回数だけきっぷ代や回数券代を支給するという形に切り替えていることが多いようです。
これまで、定期券があったことで途中下車をして買い物をしたりすることができたのに、きっぷでは途中下車できないといったことも起こりえます。
テレワークが本当に日本に定着するのかはまだ様子見のところもあり、しばらくは在宅勤務だったり出社したりと流動的な勤務体制が続くのではないかと思いますので、こういった場合、通勤費をどのようにすればよいか考えていきましょう。
乗車券の割引率と出社頻度
ここでは「通勤のための乗車券」と「寄り道のための一日乗車券」という2つの視点で考えたいと思います。
通勤のための乗車券
多くの鉄道会社では、割引率が高い順に 定期券>回数券>きっぷ となっています。ご自身の出社頻度に応じて、どの乗車券が良いのか考える必要があります。
JR東日本の場合の定期券・回数券の割引率
たとえばJR東日本の場合、割引率と出社頻度は下記のようになります。会社から通勤費を都度精算するとなった場合でも、週に3回の出社が見込めるのであれば、定期券を購入するのが良い選択となります。
乗車券 | 割引率 | 出社頻度 | ||
定期券 | 6カ月通勤定期 | 約40% | 12日/月 | 3日/週 |
3カ月通勤定期 | 約30% | 13日~15日/月 | 4日/週 | |
1カ月通勤定期 | 約26% | 14日~15日/月 | 4日/週 | |
リピートポイントサービス | 10% | 5日/月 | 1.3日/週 | |
回数券 | 約9% | 2日/月 | 0.5日/週 |
リピートポイントサービスについては下記の記事にまとめました。
割引率は各交通機関によって異なる
早まってはいけないのは、定期券の割引率は交通機関によって様々で、すべてJR東日本のようになっているわけではありません。
例えば東京メトロや都営地下鉄の場合、もともと6カ月通勤定期券より回数券のほうが割引率が高くなったりするケースがあります。こういった場合は週5日毎日通わないと定期券のもとを取ることはできません。別記事にしていますので参考になれば幸いです。
これらの料金設定は鉄道会社各社の営業戦略が表れやすい部分なので、利用される鉄道会社ごとに確認されるのが良いでしょう。私も時間を見つけて記事にしたいと思います。
寄り道のための一日乗車券
定期券には途中駅で自由に乗り降りすること(途中下車)をすることができます。帰り道や休日に定期券を使ってターミナル駅までお金をかけずに出たいために、会社と家の間にターミナル駅が来るように住む場所を調整された方もいるのではないでしょうか。
出社頻度が落ち、定期券を手放すことになった場合のデメリットは会社の帰りに寄り道できなくなることではないでしょうか。
そこで活用したいのが1日乗車券です。特に東京メトロが発売している東京メトロ24時間券であれば、600円で行き・帰り・行きの合計3回利用することができるので、168円区間であっても帰り道に1回乗り降りするだけで元を取ることが可能できます。
東京メトロ24時間券の利用方法
例えば浦安駅から大手町駅に通っており帰りに門前仲町に寄り道をする場合、下記のようになります。
番号 | 内容 | 区間 | 料金(IC料金) |
---|---|---|---|
1 | 行き | 浦安ー大手町 | 242円 |
2 | 帰り | 大手町ー門前仲町 | 168円 |
3 | 帰り | 門前仲町ー浦安 | 199円 |
4 | 行き | 浦安ー大手町 | 242円 |
24時間券は600円なのに対して、1日の利用だけでもIC利用の609円に対して9円安く、翌日の出社がある場合それにも利用できるためIC利用の場合851円に対して251円安くなります。もちろん、東京メトロ前線で利用できるので、新宿や池袋まで行くことも可能です。
各種1日乗車券については下記の記事を参照ください。
東京メトロ24時間券の公式サイトは下記のとおりです。
改札外乗り換えの活用
東京メトロや都営地下鉄などでは特定の駅で路線を乗り換えるときに一旦改札の外に出ることができます。利用できるきっぷが片道乗車券・回数券などに限られ、1時間という制限もありますが、この制度を活用することで、初乗り運賃を節約することが可能です。
下記は銀座駅・銀座一丁目駅の改札外乗り換えを利用して大手町駅~池袋駅の片道乗車券で銀座周辺で寄り道ができるという例です。PASMO・SuicaなどIC乗車券の場合は199円/片道乗車券の場合は200円で銀座で寄り道ができます。
東京メトロについては下記の記事を参考にしてください。
東京メトロと都営地下鉄の連絡乗車券の活用
東京メトロと都営地下鉄の連絡乗車券を活用することで初乗り運賃の節約も可能です。前項の東京メトロの改札外乗り換えは1時間という制限がありましたが、磁気乗車券のみとなりますが時間制限はありません。
下記は新宿駅から岩本町駅・秋葉原駅までの往復する場合で連絡乗車券を活用した例です。
都営新宿線の岩本町駅が秋葉原の中心から離れているのが難点かと思いますが、都営新宿線の場合は往復440円(片道220円、磁気・ICとも共通)かかるところをが磁気乗車券で280円、IC乗車券で276円となり160円ぐらい割引されます。
オートチャージの活用
殆どの方であれば回数券で問題ないと思いますが、予め11枚のきっぷを発券するため、管理が面倒だったり、そこまで先の見通しが立たない場合もあると思います。
その場合はSuica・PASMOなどIC乗車券を利用すると、きっぷに比べて割引やポイントなどの還元を受けることが可能です。また、会社によっては回数券や1日乗車券などをチャージ金額から購入することも可能ですので、クレジットカードからのオートチャージをおすすめします。
オートチャージなどについては下記の記事を参考にしてください。
さいごに
今回は出社回数が減った場合、交通機関各社の乗車券を組み合わせる方法を考えてみました。
まだまだ奥深い分野だと思いますので、更に研究を重ねて随時アップデートしていこうと思います。
まだまだ新しい働き方が定着するかどうかはわからないところではありますが、少しでもお役に立てれば幸いです。